自殺願望

待ち続けること何時間だったでしょうか。今ではあまり覚えていません。私の携帯に夫から電話が入りました。「もしもし?」「・・・」「今どこ?何してるの??みんな心配してるよ!」「・・・」「迎えに行くから場所おしえて!」「・・・駅」「え?どこの駅?」「〇〇駅」その後は主治医の先生と電話をかわり、しばらく話をしたあと、「奥さん大丈夫。彼病院にタクシーで戻るそうです」良かった〜。力が抜けました。彼は駅の新幹線ホームに立ち、飛び込みを考えていたそうです。タクシーで来た彼を先生はニコニコしてハグして出迎えました。

鬱病と自殺は切っても切れない関係です。その事を身をもって感じた1日でした。ところがそれは1回では済まなかったのです。

退院後しばらく自宅療養してから、また職場復帰です。相変わらず呪文のように「もう死にたい」を言い続ける夫。子どもたちの前でもお構いなく、ずーっと言い続けるので、本当に辛い。言い続けるだけでなく、台所の包丁を手首に当てたり、ベルトをフックにかけて自分の頸をのせてぶらぶらしたり。足場の悪い危ないところでわざと落ちそうにしてみたり。朝はウロウロ歩き回り、相変わらず「俺が 悪いんだよね」と言い続ける。このそわそわ感と自殺願望がいつまで続くのか・・・私も頭がおかしくなりそうでした。

言い続けた対象は私だけではなく、実母にも電話してはダラダラと愚痴っていたようです。「こうなったのはお前のせいだ」「今から死んできます。さようなら」踏切のカンカン音を聴かせて「今から死にます。さようなら」とか。酷いものでした。

こうなってくると聞いている方も「ああそうですか。どうぞ死んでください。さようなら」と言いたくなるし、言ってしまう。何もかもが狂ってる。みんな限界でした。

私は子どもたちの心が心配でした。私も家にいるのが辛くて夜はウォーキングに行ったりなるべく新鮮な空気を吸って健全な心を保つよう努力しました。ある夜息子と歩いていたら、目の前にどこかのお父さんとうちと年頃の同じ男の子が歩いていました。「ああやってさ。普通のお父さんだったら良かったのにな。」本当にそうだよね。ごめん。 なぜか私が心のなかであやまります。「そうだよね。お母さんも夫婦で仲良く歩いている人を見ると嫌になるよ」自分のココロと付き合うのが本当に辛かった。子どもたちにもどう伝えていいのか悩んでいた時期でもありました。