救急車事件

自宅に戻ってきて1ヶ月後。

ある日いつものように仕事から帰って来ると夫が家計簿をチェックしていました。そして今まで見たことのないすごい顔で睨んでくるのです。「なに?」そう聞くと「俺の金でなにをしてるんだ!こんな使いやがって!」言うなり私の襟ぐりを掴んできました。殺される!そう思った瞬間、夫が手元にあった置き時計を投げつけてきました。1メートルも離れていない至近距離で投げつけられ、とっさに避けたものの頭に直撃。「きゃーっ!」叫ぶ私。悲鳴を聞いて、二階にいた中学生の次男が慌てて降りてきて、まだ何かを投げつけようと右拳を振り上げている夫に「お父さんやめてよ!」と体を取り押さえてくれました。私は半分パニック。頭がパックリ割れた気がして。激痛だし、顔中伝わって床にボタボタと落ちてくる血‥。どうしよう‥。「救急車呼んで‥!」ところが次男はビビって電話できません。仕方ないので震える手でダイヤルを回し「救急車お願いします!頭を切っちゃって‥すぐお願いします!!どうしよう、大丈夫かな‥」住所など伝えた後、「どうしました?」と聞かれ、とっさに「夫にやられました!」と答えた私‥。「今までにもありましたか?」「いえ、今回が初めてです‥」すぐに救急車と警察が来ました。警察が来たのは「夫にやられました」と言ったのでDVと思ったかららしいのです。病院まで救急車には高校2年生の長男が同行してくれました。長男も動揺していたと思います。なんせ救急車とパトカーで物々しい雰囲気で、近所の人の衆目の中、本当にかわいそうなことをしました。救いだったのは警察の人が気を使ってくれて優しかったこと。着いた病院では学校の話などしてくれて気分を和ませてくれていました。私は5針縫う怪我で、驚いたのは「旦那さんを訴えられるように」警察の方が怪我の証拠写真を撮ったことです。救急車 の中でも何度か「訴えますか?」と確認されました。もちろん訴えなかったですが。帰宅したら夫はいなくて、急遽来てもらった義母と私の母と次男だけが家にいました。事情聴取で連行されていたのです。

間も無くすぐに夫は帰宅しましたが、この一件で私と夫の溝は今までになく深まりました。今まで抑えていたものが一気に噴き出し、人間の奥底を深くえぐったような出来事でした。