解体始まる

翌日の朝8時半。

「また同じ解体業者が来てる」とメールが届いたのです。

また⁈しかも同じ業者です。

どうしよう。「一秒でも早くやってくれ」って言われてるらしい。

9時前ですから弁護士さんもつかまりません。とにかく警察!110番です。

「どうしました?事故ですか?事件ですか?」「事件です!」

簡単な事情と住所を伝え、すぐ現場に向かいました。

ついた時にはすでに警察が対応中で、そこに私も加わり、弁護士さんにも連絡してとにかく待ってくれるよう頼みました。

業者の方は頼まれて来ているだけなので待ってはくれましたが、とにかく夫が依頼を取り下げない限り解体はすると主張します。

弁護士さんが到着し、交渉を試みるも、「依頼主が取り下げない限り実行する」の一点張り。まるで制御の効かないロボットのよう。

弁護士さんは相手方の弁護士にも連絡をとりますが、なかなか通じず。

解体業者の社長さんにも再度連絡をし、話をしましたが聞き入れられず。

その膠着状態が2時間ほど続いたでしょうか。

相手方の弁護士から「彼を説得するのは難しい」との連絡があり、私も覚悟を決めました。

「わかりました。もういいです。業者の方にも迷惑がかかることだし、解体してください。ただし、建物損壊の刑事訴訟をおこしてください。」そう弁護士さんに伝え、解体は始まりました。

 

まだ10年も経っておらず、大事に大事にしてきた我が家。ちらかってはいるものの、壁や畳など中はとてもキレイです。さっきまで靴を脱いで家に上がっていたのに、次の瞬間には解体業者が土足で上がって作業を始めている。それを見た時にはショックで涙が出てきました。